魚の天ぷら完全ガイド|7月旬の魚介(はも・あなご・うなぎ)をサクサクに揚げるプロ技

魚の天ぷら完全ガイド|7月旬の魚介(はも・あなご・うなぎ)をサクサクに揚げるプロ技 天ぷらの食材

最終更新: 2026-07-28

2026年7月26日(日)、夏の土用の丑の日が訪れました。全国各地でうなぎが食されるこの時期、じつはうなぎだけでなく「はも」「あなご」も7月に旬を迎える魚介です。

天ぷらという調理法は、魚介の旨味を衣の中に閉じ込め、素材の風味を最大限に引き出す技術です。江戸前天ぷらの定番であるあなごの天ぷら、関西の夏の主役であるはもの天ぷら、そして土用の丑の日にうなぎを天ぷらで味わう——これらはすべて、日本の食文化が磨き上げてきた「魚と油の対話」です。

しかし魚介の天ぷらは、野菜天ぷらより難しいと感じる方が多くいます。水分が多い、骨がある、臭みが出やすい——こうした魚介ならではの特性を理解し、適切に対処すれば、家庭でも驚くほどサクサクとした魚介天ぷらが揚げられます。

この記事では、7月に旬を迎える魚介を中心に、魚介別の下処理・揚げ温度・衣の厚さ・揚げ時間を具体的に解説します。さらに年間を通じた魚介天ぷらの食材カレンダーもお伝えします。

天ぷら全般の基礎技術については、天ぷらの揚げ方コツ|プロが教えるサクサクの秘訣を合わせてご覧ください。

7月が「魚介天ぷらの絶頂期」である理由

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気象庁の気象データ(1991〜2020年平年値)によると、7月の東京の平均気温は25.7℃。日本近海の水温が上昇し、夏の旬の魚介が豊かな脂と旨味を蓄える時期です。

天ぷらナビが参照する食材データでは、7月に旬を迎える魚介類として「うなぎ」「はも」「あなご」の3種が挙げられています。この3種が同時期に旬を迎えるのは偶然ではなく、日本近海の海流と水温の変化が関係しています。

魚介 旬の時期 旬の特徴 天ぷらとの相性
はも(鱧) 6〜8月 骨が多く繊細な白身・関西の夏の風物詩 高い(骨切り後に揚げる)
あなご(穴子) 6〜8月(梅雨穴子) 脂が少なくさっぱり・淡泊な旨味 非常に高い(江戸前天ぷらの定番)
うなぎ(鰻) 土用の丑の日文化あり(本来の旬は秋冬) 脂が豊富・濃厚な旨味 高い(蒲焼と異なる味わい)
きす(鱚) 5〜7月 淡白な白身・天ぷらの定番 最高(天ぷらの王道食材)
いさき(伊佐木) 6〜7月 脂がのった白身・皮目に旨味 高い(皮付きで揚げる)

7月はこれら全食材が重なる「魚介天ぷらの絶頂期」です。

はもの天ぷら|関西が愛する夏の高級魚を揚げる技術

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はも(鱧)は、うなぎの仲間の細長い白身魚で、6月から8月が旬のピークです。京都の祇園祭(7月)に「鱧祭り」の別名があるほど、関西の夏の食文化と切り離せない魚です。

はもの特性と天ぷらの難しさ

はもの最大の特徴は「骨の多さ」です。はもの体には3〜4cmごとに細かい小骨があり、この骨を取り除かないと食べられません。そこで必要になるのが「骨切り(ほねきり)」という下処理技術です。

骨切りは、皮を残しながら身の方向に向けて包丁を細かく入れ(2〜3mm間隔)、小骨を切断する作業です。専門の料理人がこの技術を習得するだけで数年かかると言われており、はもが関西の高級割烹・料亭の食材として定着している理由のひとつです。

家庭ではスーパーや鮮魚店で骨切り済みのはもを購入することをお勧めします。骨切り処理が終わったものなら、天ぷらの調理自体は比較的シンプルです。

はも天ぷらの揚げ方

骨切り済みのはもを使う前提での手順です。

下処理

1. はもの切り身を一口大(5〜6cm)に切る

2. 水分をキッチンペーパーで丁寧に拭き取る(水分が衣の付きを悪くする)

3. 薄く塩を振り5分置き、出てきた水分を再度拭き取る

衣の付け方

薄い衣(天ぷら粉を薄めに溶いたもの)を使います。はもは淡白な白身のため、衣が厚いと素材の繊細な風味が衣に負けてしまいます。

揚げる温度と時間

  • 油温:175〜180℃
  • 揚げ時間:2〜3分
  • 目安:衣が薄いきつね色になったら引き上げる

骨切りしたはもは高温で揚げると身が花のように開く「牡丹はも」と呼ばれる状態になります。これははもの骨切り部分が熱で開く現象で、見た目にも美しく料亭でもよく提供されます。

はもの天ぷらには、天つゆよりも塩(特に抹茶塩や柚子塩)が素材の風味を際立たせます。

あなごの天ぷら|江戸前の定番を梅雨穴子で堪能する

あなご(穴子)は江戸前天ぷらの代表食材のひとつで、天丼の具材としても广く使われます。6月から8月の「梅雨穴子(つゆあなご)」「夏穴子」と呼ばれる時期が旬のピークです。

あなごの旬と梅雨穴子の特徴

梅雨の季節は河川の増水とともに豊富な栄養分が海に流れ込みます。この栄養を蓄えたエサを多く食べるあなごは、梅雨期に特に身が締まり旨味が増すとされます。

夏のあなごは脂が少なくさっぱりとした淡泊な味わいが特徴で、この「あっさり感」が天ぷらの衣と組み合わさったとき、驚くほどバランスのよい料理になります。脂の乗りすぎた食材は衣と馴染みすぎて重くなりますが、夏あなごの淡泊さは衣のサクサク感を引き立てるのです。

対照的に、冬のあなごは脂が乗って濃厚な旨味があり、煮穴子(煮込んで甘辛く仕上げる)に向きます。天ぷらには夏〜初秋のあなごが最適です。

あなご天ぷらの揚げ方

下処理

1. あなごのぬめりをキッチンペーパーでしっかり除去する(臭みの原因になる)

2. 骨があれば取り除く(市販の開きあなごはほぼ処理済み)

3. 食べやすい長さ(15〜20cm)に切る

4. 水分を十分に拭き取る

揚げる温度と時間

  • 油温:140〜160℃(低温揚げ)
  • 揚げ時間:4〜5分
  • 目安:じっくり揚げて内側まで火を通す

あなごは他の白身魚より低温でじっくり揚げるのがポイントです。高温で揚げると外側だけ焦げて内側に火が通らない状態になりやすい。低温でゆっくり揚げることで、身がふっくらと仕上がります。

プロの技:ごま油を加える

揚げ油にごま油を10〜20%加えると、江戸前天ぷららしい香ばしい風味が加わります。ごま油は香りが強いため少量から試してみてください。あなごの衣との相性は抜群です。

うなぎの天ぷら|土用の丑の日に蒲焼とは異なる楽しみ方

2026年の夏の土用の丑の日は7月26日(日)でした。全国でうなぎの蒲焼が食される一方、「うなぎの天ぷら」という楽しみ方をご存知でしょうか。

うなぎの本当の旬は「秋〜冬」

じつはうなぎの天然の旬は10月〜12月(秋から冬)とされており、脂が最も乗るのは土用の丑の日がある夏ではありません。土用にうなぎを食べる文化は、江戸時代の学者・平賀源内が案出したマーケティング戦略がきっかけとされています(諸説あり)。

現代市場に流通するうなぎのほとんどは養殖ものです。養殖うなぎは一年を通じて安定した脂乗りがあるため、季節にかかわらず美味しく食べられます。

うなぎ天ぷらの特徴と揚げ方

うなぎの天ぷらは、関西の一部の料亭や江戸前天ぷら専門店で供されることがありますが、家庭ではあまり馴染みがありません。蒲焼との最大の違いは「醤油・みりんのタレを使わない」点です。うなぎそのものの脂と旨味を天ぷらの衣が包み込むため、素材の地力が存分に表れます。

使う部位と形

蒲焼用のうなぎを短冊状(3〜4cm幅)に切って使います。市販の蒲焼を使う場合は、タレを洗い流してから使用します。

揚げる温度と時間

  • 油温:175℃
  • 揚げ時間:2分程度(脂が多いため短時間で揚がる)
  • 目安:衣が薄いきつね色になったら引き上げる

うなぎの脂が多いため、油が汚れやすいです。うなぎは最後に揚げると他の食材に影響を与えずに済みます。

魚介の天ぷらを美味しく揚げる5つの共通ルール

魚介の天ぷらに共通して適用できるプロの技術を5点にまとめます。

ルール1:水分の除去が最重要

魚介に水分が残っていると、衣が均一に付かず、油が跳ねる原因になります。揚げる直前に必ずキッチンペーパーで水分を丁寧に除去してください。この一手間が、サクサクの衣と仕上がりの差を生む最も重要な工程です。

ルール2:魚介は野菜より後に揚げる

天ぷらを揚げる順序は「野菜→魚介」が基本です。魚介は加熱すると匂いが油に移りやすく、先に揚げると後の野菜天ぷらにも影響を与えます。また、魚介の水分が多いと油が汚れるため、野菜で油を「きれいな状態」に使ってから魚介を揚げると全体のクオリティが上がります。

ルール3:衣は薄く、冷たく

魚介の天ぷらには「薄い衣」が向いています。衣が厚いと魚介の繊細な風味が衣に負けてしまいます。衣を作る際は冷水(または氷水)を使い、混ぜすぎないことが重要です。グルテンの形成を最小限に抑えることで、軽いサクサクした衣に仕上がります。

ルール4:臭み消しの下処理

魚介の臭みを抑えるために、生姜の薄切りや葱をまな板に敷いてから魚介を置く、または生姜汁を薄く刷り込むといった下処理が効果的です。塩を薄く振って5分置き(塩締め)、出てきた水分と一緒に臭みを抜く方法も有効です。

ルール5:食材別に揚げ温度を調整する

同じ「魚介」でも、適切な揚げ温度は異なります。以下の表を参考に調整してください。

食材 揚げ温度 揚げ時間 ポイント
きす 170〜175℃ 2〜2.5分 衣が薄い・素材が透けるほど薄付き
いさき 170〜175℃ 3〜4分 皮付きで揚げると皮目がパリッとなる
はも 175〜180℃ 2〜3分 骨切り後・薄い衣・高温で花が咲く
あなご 140〜160℃ 4〜5分 低温でじっくり・身をふっくらさせる
うなぎ 175℃ 2分 脂が多いため短時間・最後に揚げる
えび 170〜175℃ 1.5〜2分 尾の水分に注意・直前まで冷やす

揚げ油の温度管理については、天ぷらの揚げ油の温度目安|食材別の正確な数値を解説で詳しく確認できます。

季節別・魚介天ぷら食材カレンダー

天ぷらに適した魚介は季節によって変わります。旬の食材を使うことで、素材の旨味が衣と相乗効果を発揮し、格段に美味しい天ぷらになります。

季節 おすすめ魚介天ぷら食材
3〜5月 しらす・さより・あさり・はまぐり・ほたるいか
初夏 5〜6月 きす・いさき・あじ・蛍イカ・あなご(走り)
7〜8月 はも・あなご(梅雨穴子)・うなぎ・きす・いさき
9〜11月 さんま・さば・いくら・かき・ずわいがに
11〜2月 ふぐ・たらばがに・ひらめ・あんこう・ぶり

年間を通じて天ぷらに使える魚介は豊富にあります。旬の食材を追いかけることが、天ぷらを最も美味しく楽しむ方法です。

7月の旬食材の詳細は7月の旬食材と天ぷらの楽しみ方もご参照ください。

家庭でできるきすの天ぷら|白身魚天ぷらの王道

きす(鱚)は天ぷら店の定番食材として最も親しまれている白身魚で、5〜7月が旬です。淡白でクセがなく、天ぷらにすると衣のサクサク感が素材の白身と絶妙にマッチします。きすの天ぷらは家庭でも比較的扱いやすく、魚介天ぷら入門として最適です。

きすの下処理

1. うろこを丁寧に取る(スケールやスプーンの背を使う)

2. 頭を落とし、内臓を除去する

3. 三枚おろしにする(または開きにする)

4. 骨抜きで残った小骨を取り除く

5. 水分をキッチンペーパーで丁寧に拭き取る

骨が不安な方は、スーパーや鮮魚店でさばいてもらう方法が確実です。

揚げ方

衣をできるだけ薄く付け(竹串で衣をなぞって余分を落とす)、170〜175℃で2〜2.5分揚げます。衣が薄い部分からきすの白身が透けて見えるほど薄付きにするのが江戸前天ぷらのスタイルです。

食べ方は塩が最もお勧めです。きすの繊細な旨味を天つゆは覆いすぎてしまうため、柚子塩・抹茶塩・岩塩を少量つけて食べると、白身の甘みが際立ちます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 魚の天ぷらは野菜の天ぷらと揚げる順序が違いますか?

はい。基本的な順序は「淡白な野菜→強い味・臭みのある食材→魚介」です。特に魚介は油に匂いが移りやすいため、野菜の後に揚げるのが原則です。え び・白身魚などクセの少ない魚介は比較的早めに揚げられますが、うなぎや脂の多い青魚は最後にします。

Q2. 魚の天ぷらに向かない魚はありますか?

脂が非常に多い青魚(さば・さんまなど)は天ぷらには向かないとされることが多いです。油に大量の脂が出て油が汚れやすく、衣も重くなりがちです。さんまの天ぷらも存在しますが、技術的に難度が高い部類に入ります。脂の少ない白身魚がより天ぷらに向いています。

Q3. あなごとうなぎ、天ぷらにするならどちらが向いていますか?

天ぷらにはあなごの方がより適しています。あなごは夏に脂が少なくさっぱりするため、衣の軽さと素材の淡泊さが相乗効果を生みます。うなぎは脂が多く蒲焼に向く食材であり、天ぷらにする場合は脂が油に溶け出して油が汚れやすいという難しさがあります。

Q4. はもを家庭で骨切りするのは難しいですか?

非常に難しいです。はもの骨切りはプロでも数年かかる技術とされています。家庭では骨切り済みのはもを購入することを強くお勧めします。鮮魚店やスーパーの鮮魚コーナーで7月頃に骨切り済みのはもが販売されることがあります。

Q5. 魚介の天ぷらに合う揚げ油は何ですか?

太白ごま油(白ごま油)は魚介天ぷらとの相性が高いとされています。香りがやや控えめで、食材の風味を邪魔せずに揚げられます。江戸前天ぷらでは「太白ごま油+サラダ油(菜種油)のブレンド」が伝統的に使われています。おすすめ油の詳細は天ぷらの油おすすめ|プロが選ぶ揚げ油の種類と選び方でご確認ください。

Q6. 魚介の天ぷらの衣を薄くするコツは?

衣を薄くするには3つのポイントがあります。(1)天ぷら粉を水で普段より薄め(水の量を増やす)に溶く。(2)食材を衣にくぐらせたら、竹串で衣をそっと払って余分を落とす。(3)衣を混ぜすぎない(グルテンが少ないほど薄く仕上がる)。魚介の白身が透けて見えるほどの薄さが、江戸前の本格的な天ぷらのスタイルです。

Q7. 魚介天ぷらに合う天つゆの分量は?

天つゆの基本比率は「だし4:みりん1:醤油1」です。魚介の天ぷらには、出汁を少し多めにした「薄め」の天つゆが素材の繊細さを活かします。白身魚(きす・はも)には塩の方が向くことが多いので、両方用意して食べ比べるのもお勧めです。

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まとめ

7月は魚介天ぷらにとって最高の季節です。はも・あなご・うなぎが同時に旬を迎えるこの時期、それぞれの食材の特性を理解して揚げることで、家庭でも本格的な魚介天ぷらが楽しめます。

各食材のポイントを振り返ります。

  • はも:骨切り済みを購入し、175〜180℃の高温で2〜3分。薄い衣で揚げて花咲き(牡丹はも)を楽しむ
  • あなご:ぬめり除去が必須。140〜160℃の低温で4〜5分。ごま油でより香り豊かに
  • うなぎ:脂が多いため175℃で2分の短時間揚げ。最後に揚げて油の汚れを最小化
  • きす:三枚おろし後、薄い衣で170〜175℃・2〜2.5分。塩でいただくのが定番

魚介天ぷらの最重要ポイントは「水分除去」「適切な揚げ温度」「薄い衣」の3点です。この3点を守ることで、どの魚介でもサクサクした天ぷらに仕上がります。

食材別の揚げ時間を詳しく知りたい方は、天ぷらの揚げ時間食材別ガイドもあわせてご覧ください。

参考情報

  • 気象庁 過去の気象データ・平年値(1991〜2020年)「7月東京平均気温25.7℃」
  • 農林水産省「うちの郷土料理」(うなぎ・はも関連)
  • 牛深水産株式会社「夏が旬の穴子!調理する際の注意点も解説」(ushibukasuisan.com)
  • マルイチ産商「魚介類の天ぷらや唐揚げのコツ」(maruichi.com)
  • デリッシュキッチン「ハモ(鱧)とは」(delishkitchen.tv)
  • 白ごはん.com「穴子の天ぷらのレシピ/作り方」(sirogohan.com)
  • じゃらんニュース「2026年の土用の丑の日は7月26日」(jalan.net)



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