最終更新: 2026-07-02
7月を迎え、はも・あなご・とうもろこし・オクラなど、天ぷらにすると格別な旬食材が出揃う季節になりました。気温が上がるこの時期だからこそ、揚げたてのサクサクの天ぷらを自宅で味わいたいという方も多いのではないでしょうか。
「レシピ通りに作っているのに衣がべちゃっとする」「油がはねて怖い」「お店のような軽い食感にならない」——家庭での天ぷら作りには、こうした悩みがつきものです。しかし、その原因は才能やセンスではなく、正しい手順と原理を知っているかどうかの差にあります。
本記事では、天ぷら職人が日々実践している5つのステップを、科学的な裏付けとともに解説します。グルテン形成の抑制、油の対流理論、食材ごとの最適温度帯まで踏み込みながらも、家庭のキッチンで再現できる形に落とし込みました。
材料の下準備から衣の配合、油の温度管理、食材別の揚げ方、そして盛り付けまで。この一連の流れを身につければ、家庭の天ぷらは確実に変わります。
天ぷらの作り方:始める前に知っておくこと
天ぷらの作り方に入る前に、全体像を把握しておきましょう。以下の表に、天ぷら作りの概要をまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所要時間 | 約30分(下準備15分+揚げ15分) |
| 費用の目安 | 500〜1,500円(食材により変動) |
| 難易度 | 中級(基本を押さえれば失敗しにくい) |
| 必要な道具 | 鍋(天ぷら鍋または深めのフライパン)、菜箸、バット、キッチンペーパー |
| 適した油 | 太白ごま油、米油、サラダ油(またはブレンド) |
| 衣の材料 | 薄力粉、卵、冷水 |
天ぷらは「揚げ物」というカテゴリの中で、最も繊細な料理のひとつです。フライやから揚げはパン粉や下味で食材を守りますが、天ぷらは薄い衣一枚で勝負します。だからこそ、ひとつひとつの工程の精度が仕上がりを左右します。
油の選び方について詳しく知りたい方は、天ぷらにおすすめの油を参考にしてください。
天ぷら作りに必要な材料(2人前)
基本の材料は以下の通りです。
衣の材料:
- 薄力粉: 100g
- 卵: 1個(Mサイズ)
- 冷水: 150ml(卵と合わせて約180ml)
天ぷらの具材(7月の旬食材を含む一例):
- 海老: 4尾
- なす: 1本
- かぼちゃ: 4切れ(5mm厚)
- オクラ: 4本
- とうもろこし: 1/2本分(かき揚げ用)
- 大葉: 4枚
揚げ油:
- サラダ油または米油: 800ml〜1L
天ぷらの作り方【5ステップで徹底解説】
ここから、天ぷらの作り方を5つのステップに分けて解説します。各ステップには職人が重視するポイントと、その科学的な根拠を併記しています。
Step 1: 食材の下準備と水気の処理
天ぷらの作り方で、最初にして最も見落とされがちな工程が下準備です。天ぷら職人の世界では「段取り八分」という言葉がありますが、食材の処理を丁寧に行うことが、仕上がりの8割を決めると言っても過言ではありません。
食材別の下準備:
海老の下処理は以下の手順で行います。まず殻をむき、背ワタを取ります。次に腹側に3〜4本の浅い切り込みを入れ、指で軽く押して筋を断ちます。こうすることで揚げたときの反り返りを防げます。尾の先端を斜めに切り落とし、包丁の背で尾に残った水分をしごき出してください。この水分が残っていると、揚げたときに油がはねる原因になります。
なすは縦半分に切り、皮目に格子状の浅い切り込みを入れます。切り込みの深さは2〜3mm程度。これにより火の通りが均一になり、油の中での加熱ムラを防ぎます。切ったらすぐに水にさらしてアクを抜き、揚げる直前にキッチンペーパーで水気を拭き取ります。
オクラはガクの周りを薄くむき、竹串で2〜3箇所穴を開けます。穴を開けることで、加熱時に内部の水蒸気が逃げ、破裂を防止できます。
とうもろこし(かき揚げ用)は、包丁で芯から実を削ぎ落とします。バラバラになった粒に薄力粉を薄くまぶしておくと、衣との一体感が生まれ、揚げたときにバラけにくくなります。
水気の処理が重要な科学的理由:
食材に水分が残っていると、高温の油に入れた瞬間に水が急激に蒸発し、油はねの原因になります。さらに、水分は衣と食材の間に入り込み、衣の密着を妨げます。結果として、衣が剥がれたり、衣が水分を吸ってべちゃっとした仕上がりになります。すべての食材は、衣をつける直前にキッチンペーパーで表面の水気をしっかり拭き取ることを徹底してください。
Step 2: 衣の作り方 — 職人が守る「3つの冷」
天ぷらの衣は、サクサク食感を決める最大の要因です。職人の世界で語り継がれている「3つの冷」という鉄則があります。それは「冷たい水」「冷たい卵」「冷たい粉」です。
なぜ「冷やす」のか——グルテン形成の科学:
小麦粉に含まれるタンパク質(グルテニンとグリアジン)は、水と結合すると網目状のグルテン構造を形成します。グルテンはパンやうどんに弾力を与える成分ですが、天ぷらの衣では大敵です。グルテンが多く形成されると、衣が粘り気を持ち、揚げた後もモチモチと重い食感になります。
グルテンの形成速度は温度に依存します。水温が低いほど形成が遅くなるため、すべての材料を冷やしておくことで、混ぜてから揚げるまでの間のグルテン形成を最小限に抑えられます。
衣の作り方(手順):
1. ボウルに冷水150mlを入れ、冷蔵庫から出したばかりの卵1個を割り入れてよく混ぜる
2. 別のボウル(できれば氷水を張ったボウルの上に置く)に薄力粉100gをふるい入れる
3. 卵液を粉のボウルに一気に注ぐ
4. 菜箸を使い、縦方向に大きく10〜15回だけ混ぜる。円を描くように混ぜない
5. ダマや粉っぽさが残っている状態で止める。これが正解
よくある失敗は「ダマがなくなるまで混ぜてしまう」ことです。ホットケーキの要領で滑らかに混ぜたくなりますが、天ぷらの衣はダマが残っている方が正しい状態です。ダマの部分は揚げると独特のカリッとした食感を生みます。
衣をさらにサクサクに仕上げたい場合は、天ぷらの衣をサクサクにする方法で炭酸水やマヨネーズを活用した応用テクニックも紹介しています。
Step 3: 油の温度管理 — 170〜180℃の見極め方
天ぷらの作り方で、衣と並んで仕上がりを左右するのが油の温度管理です。職人は油の状態を「音」「泡」「香り」で瞬時に判断しますが、家庭でも再現できるいくつかの方法があります。
油の対流理論:
天ぷらを美味しく揚げる油の温度帯は170〜180℃です。この温度帯では、油の中で「対流」と呼ばれる循環運動が適度に起こります。食材を投入すると、食材から出た水蒸気が上昇気流を生み、油が食材の周囲を均一に循環します。この対流によって、衣全体が均等に加熱され、ムラのないサクサクの仕上がりになります。
温度が低すぎる(160℃以下)と対流が弱く、衣が油を吸ってしまいます。逆に高すぎる(190℃以上)と対流が激しくなりすぎて、衣の表面だけが急速に固まり、中の食材に火が通る前に焦げてしまいます。
温度計がない場合の見極め方(菜箸法):
乾いた菜箸を油に入れて、泡の出方で温度を判断できます。
- 150〜160℃(低温): 箸の先端から小さな泡がゆっくりと出る
- 170〜180℃(適温): 箸全体から細かい泡が勢いよく出る
- 190℃以上(高温): 箸を入れた瞬間に激しく大きな泡が出る
もうひとつ、衣を一滴落とす方法もあります。衣が鍋底まで沈んですぐに浮き上がれば約170℃、途中まで沈んで浮き上がれば約180℃、沈まずに表面で散れば190℃以上と判断できます。
油の量と鍋の選び方:
油の量は仕上がりに直結します。最低でも鍋底から3cm以上の深さを確保してください。油が少ないと、食材を入れたときに温度が急激に下がり、衣が油を吸ってべちゃっとします。一般的な天ぷら鍋であれば800ml〜1Lが適量です。
鍋は鉄製の天ぷら鍋が最適です。鉄は蓄熱性が高く、食材を入れても温度が下がりにくい特性があります。家庭にない場合は、深めのフライパンやステンレス鍋でも代用できます。
油の温度管理についてさらに詳しく知りたい方は、天ぷらの油の温度目安もあわせてご確認ください。
Step 4: 揚げ方の極意 — 食材別の揚げ時間と順番
いよいよ揚げの工程です。天ぷらの作り方で職人が最もこだわるのが、この揚げのステップです。食材を入れる順番、一度に揚げる量、箸の使い方まで、すべてに意味があります。
揚げる順番の鉄則:
天ぷらを揚げる順番は、「香りの弱いもの→強いもの」「低温のもの→高温のもの」が基本です。これは油の汚れを最小限に抑え、すべての食材を最良の状態で揚げるための知恵です。
推奨する揚げ順:
1. 大葉などの葉物(170℃・30〜40秒)
2. かぼちゃ・さつまいもなどの根菜類(160〜170℃・3〜4分)
3. なす・オクラなどの野菜(170℃・2〜2分30秒)
4. とうもろこしのかき揚げ(170℃・2〜3分)
5. 海老・キス・はもなどの魚介類(180℃・1分30秒〜2分)
| 食材 | 揚げ温度 | 揚げ時間 | 7月の旬 | 下処理のポイント |
|---|---|---|---|---|
| 大葉 | 170℃ | 30〜40秒 | – | 片面のみ衣をつける |
| かぼちゃ | 160〜170℃ | 3〜4分 | – | 5mm厚にスライス |
| なす | 170℃ | 2〜2分30秒 | – | 皮目に格子の切り込み |
| オクラ | 170℃ | 1分30秒〜2分 | 旬 | ガクをむき、穴を開ける |
| とうもろこし(かき揚げ) | 170℃ | 2〜3分 | 旬 | 粒に薄力粉をまぶす |
| 海老 | 180℃ | 1分30秒〜2分 | – | 腹に切り込み、尾の水分を抜く |
| はも | 180℃ | 2〜2分30秒 | 旬 | 骨切り済みのものを使用 |
| あなご | 180℃ | 2〜3分 | 旬 | 開いた状態で衣をつける |
食材別の揚げ時間についてさらに詳しい一覧は、食材別の揚げ時間ガイドにまとめています。
一度に揚げる量:
油の表面積の1/3〜1/2以下に抑えてください。食材を入れすぎると油の温度が一気に下がり、すべての食材が油を吸ってしまいます。職人は「鍋の中に余白を残す」ことを常に意識しています。余白があることで油の対流が維持され、食材が均一に加熱されます。
揚げている最中の見極め:
天ぷらが揚がったサインは「音」と「泡」に表れます。揚げ始めは食材から水分が出るため、大きな泡がボコボコと出ます。揚がってくると水分が減り、泡が細かく小さくなります。この「泡が細かくなった瞬間」が引き上げのタイミングです。
また、菜箸で食材を持ち上げたとき、手に伝わる振動(カリカリという感触)が軽くなったら揚がっている証拠です。職人はこの感触を「箸先で聴く」と表現します。
Step 5: 油切りと盛り付け — サクサクを保つ最後の仕上げ
天ぷらの作り方の最終ステップは、油切りと盛り付けです。せっかくサクサクに揚がった天ぷらも、この工程を疎かにすると台無しになります。
油切りの正しい方法:
揚げた天ぷらは、まず鍋の上で3〜5秒ほど菜箸で持ったまま油を切ります。次に、バットの上に立てかけた網(揚げ網)の上に置きます。キッチンペーパーの上に直接置く方法が家庭では一般的ですが、これはあまり推奨しません。紙の上に置くと、底面が紙に密着して蒸気がこもり、その部分だけ衣がしんなりしてしまうためです。
理想的なのは、バットの上に網を敷き、その上に天ぷらを立てかけるように置く方法です。こうすることで空気が全面を循環し、衣のサクサク感が保たれます。100円ショップなどで手に入る「ケーキクーラー」がちょうどよいサイズです。
盛り付けの基本:
天ぷらの盛り付けは「奥に高く、手前に低く」が基本です。重い食材(海老、魚介)を奥に配置し、軽い食材(大葉、野菜)を手前に並べます。天紙(てんし)と呼ばれる専用の敷紙を皿に敷くと、見栄えが格段に上がります。
盛り付けたら、すぐに食卓へ。天ぷらは揚げたてから5分以内に食べるのが理想です。時間が経つと衣が空気中の水分を吸い、サクサク感が失われていきます。東京の年平均湿度は約60%ですが、7月は平均気温25.7℃(気象庁平年値、1991〜2020年)に伴い湿度も高くなるため、夏場は特に素早い提供が重要です。
天ぷらの作り方で失敗しないためのコツ・注意点
ここまでの5ステップを押さえても、細かいミスで失敗することがあります。よくある失敗とその原因、対策を一覧にまとめました。
| よくある失敗 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 衣がべちゃっとする | 衣の混ぜすぎ(グルテン形成)、油温が低い | 衣は10〜15回だけ混ぜる。油温170℃以上を維持 |
| 衣が剥がれる | 食材の水気が残っている | 揚げる直前にキッチンペーパーで水分を拭く |
| 油がはねる | 食材や衣に水滴が残っている | 水気の処理を徹底する。海老の尾の水分をしごく |
| 中まで火が通らない | 油温が高すぎる、食材が厚すぎる | 根菜は160〜170℃の低温でじっくり。5〜8mm厚に切る |
| 衣が焦げる | 油温が190℃以上になっている | 温度計で管理。揚げカスをこまめに取り除く |
| かき揚げがバラバラになる | 衣が少ない、油に投入する方法が悪い | 具に薄力粉をまぶしてから衣を加える。おたまで滑らせるように入れる |
| 揚がった天ぷらがすぐにしんなりする | 油切りが不十分、重ねて置いている | 網の上に立てかけて置く。重ねない |
| 油が黒く汚れる | 揚げカスを放置している | 揚げカスは都度すくい取る。こまめに取ることで油の劣化を防ぐ |
天ぷらの作り方全般のコツについては、天ぷらの揚げ方のコツでも体系的に解説しています。
季節別おすすめ食材と天ぷらの作り方アレンジ
天ぷらの醍醐味は、旬の食材を衣で包み、その瞬間の美味しさを閉じ込めるところにあります。職人にとって「旬を揚げる」ことは、季節への敬意そのものです。ここでは、7月の旬食材を中心に、季節ごとのおすすめ食材と天ぷらの作り方のアレンジを紹介します。
7月の旬食材と天ぷらのポイント(2026年7月時点)
| 食材 | 分類 | 天ぷらの特徴 | 揚げ温度 | おすすめの食べ方 |
|---|---|---|---|---|
| はも | 魚介 | 白身の上品な甘みが衣の中で凝縮される | 180℃ | 梅肉を添えて |
| あなご | 魚介 | ふわっとした身と衣のコントラストが際立つ | 180℃ | 天つゆで |
| とうもろこし | 野菜 | 粒の甘みが油で引き立つ。かき揚げが定番 | 170℃ | 塩で |
| オクラ | 野菜 | 粘りが衣の中に閉じ込められ独特の食感に | 170℃ | 塩またはおろし天つゆ |
| みょうが | 野菜 | 爽やかな香りが衣で包まれ、夏の味覚を凝縮 | 170℃ | 塩で |
| ズッキーニ | 野菜 | 加熱でとろりとした食感になり、甘みが増す | 170℃ | 天つゆで |
| 枝豆 | 野菜 | 皮ごとかき揚げにすると香ばしさが際立つ | 170℃ | 塩で |
季節ごとの旬食材一覧
春(3〜5月)は、ふきのとう・たらの芽・こごみなどの山菜が天ぷらの定番です。山菜はアクが強いものが多いですが、天ぷらにすることで油がアクを閉じ込め、苦みがほどよくマイルドになります。
夏(6〜8月)は、はも・あなご・とうもろこし・オクラ・みょうがなど、香りと甘みの強い食材が揃います。特にはもの天ぷらは京都の天ぷら職人が「夏の華」と呼ぶ逸品です。
秋(9〜11月)は、きのこ類(舞茸・松茸)、さつまいも、れんこん、銀杏など、土の滋味を感じる食材が主役になります。舞茸の天ぷらは、ある天ぷら職人が「舞茸だけは他のどんな調理法よりも天ぷらが一番うまい」と断言するほどです。
冬(12〜2月)は、牡蠣、白子、春菊、ゆり根など、濃厚な旨味を持つ食材の季節。牡蠣の天ぷらはフライとはまた異なる繊細な味わいがあります。
食材選びのアレンジのコツ
天ぷらの作り方に慣れてきたら、定番食材以外にも挑戦してみてください。チーズ、アボカド、梅干しなども意外な美味しさがあります。ポイントは「水分量の少ない食材を選ぶ」こと。水分が多い食材は衣が剥がれやすく、油はねも起きやすいため、初心者のうちは避けた方が無難です。
天ぷらのおすすめ食材をランキング形式でまとめた記事もありますので、天ぷらの具材ランキングもあわせてご覧ください。
職人が教える「格上げ」テクニック
基本の5ステップに加え、天ぷらの仕上がりをさらに引き上げる職人直伝のテクニックを紹介します。ここで紹介する内容は、一般的なレシピサイトではまず取り上げられない、現場で培われた知恵です。
「花を咲かせる」衣のテクニック
天ぷら職人が海老やキスを揚げるとき、衣の先端がふわりと広がる「花衣(はなごろも)」と呼ばれる技法を使います。これは食材に衣をつけて油に入れた後、指先で衣液を数滴振りかけて散らすテクニックです。散った衣が食材の周囲に細い糸状に広がり、揚がるとカリッとした繊細な食感を生みます。
家庭で再現する方法は以下の通りです。菜箸の先に衣液をつけ、油の中の食材の上から軽く振り落とします。3〜4回繰り返すと、職人のような華やかな衣に仕上がります。見た目の美しさだけでなく、衣の表面積が増えることでサクサク感も増す、理にかなった技法です。
「二度揚げ」で食感を極める
根菜類(かぼちゃ、さつまいも、れんこんなど)は、二度揚げすると食感が格段に向上します。一度目は160℃の低温で3分ほど揚げて中まで火を通し、一度引き上げて2〜3分休ませます。この間に余熱で中心部まで均一に加熱されます。二度目は180℃の高温で30秒〜1分、衣の表面をカリッと仕上げます。
この方法は、外はカリカリ・中はホクホクという理想的な食感を生みます。プロの現場では「追い揚げ」とも呼ばれ、特にさつまいもの天ぷらで多用されます。
油のブレンドで香りを操る
天ぷら専門店では、サラダ油だけでなく複数の油をブレンドして使います。特に人気があるのは、太白ごま油とサラダ油のブレンドです。太白ごま油を2〜3割混ぜることで、天ぷらに上品な風味が加わります。
太白ごま油は焙煎していないごま油なので、いわゆる「ごま油の香り」はしません。しかし、揚げたときに独特の芳ばしさと軽さを衣に与えます。名店と呼ばれる天ぷら店の多くは、この太白ごま油のブレンド比率に独自のこだわりを持っています。
天つゆと薬味で味を引き締める
天ぷらを引き立てるのが天つゆと薬味です。基本の天つゆはだし汁200ml、みりん50ml、醤油50mlを合わせてひと煮立ちさせるだけ。大根おろしとおろし生姜を添えれば、職人の味に近づきます。
7月のおすすめは、大根おろしの代わりに「みょうがおろし」を添える食べ方です。夏の天ぷらに清涼感が加わり、はもやあなごとの相性が抜群です。また、塩で食べる場合は、抹茶塩や山椒塩など複数の塩を用意すると、食材ごとに味の変化を楽しめます。
天ぷらの作り方に関するよくある質問
Q1. 天ぷら粉と薄力粉、どちらを使うべきですか?
天ぷら粉は薄力粉にベーキングパウダーやでんぷんなどを配合した製品で、手軽にサクサクの衣が作れるよう調整されています。初心者の方や手軽さを求める場合は天ぷら粉でも問題ありません。ただし、職人の天ぷらを目指すなら薄力粉を使うことをおすすめします。薄力粉の方が衣の厚みや食感を自分で調整でき、食材に合わせた繊細なコントロールが可能です。
Q2. 衣に卵を入れないとどうなりますか?
卵を入れない「卵なし衣」でも天ぷらは作れます。卵を入れると衣にコクと黄色い色味が加わり、やや重めの食感になります。卵を抜くと、より軽くて白い衣になります。実は一部の天ぷら職人は、食材の味を前面に出すためにあえて卵を使わない衣を作ることもあります。小麦粉と冷水だけのシンプルな衣は、山菜や白身魚など、素材の繊細な風味を生かしたいときに適しています。
Q3. 天ぷら鍋がなくても作れますか?
作れます。深さ7cm以上のフライパンや厚手の鍋であれば代用可能です。重要なのは油の深さを3cm以上確保することと、鍋底が厚く蓄熱性が高い素材を選ぶことです。薄手のアルミ鍋は温度が下がりやすいため、あまりおすすめしません。鉄やステンレスの鍋が適しています。IHコンロの場合は、IH対応の天ぷら鍋を使用してください。
Q4. 揚げ油は何回まで使い回せますか?
目安は3〜4回です。ただし、回数だけでなく油の状態を確認してください。色が濃くなった、粘りが出た、嫌な臭いがする、泡立ちが消えにくい場合は交換のサインです。使用後は揚げカスを漉して取り除き、冷暗所で保管すると劣化を遅らせられます。なお、油の酸化は170℃以上の加熱時間に比例して進むため、揚げ終わったらすぐに火を止めることも油を長持ちさせるコツです。
Q5. 天ぷらそばや天丼にする場合、揚げ方を変えるべきですか?
天ぷらそばや天丼に使う天ぷらは、そのまま食べる場合と揚げ方を少し変えることをおすすめします。天丼用は、つゆに浸しても衣が崩れないよう、やや厚めの衣をつけて揚げます。天ぷらそば用は、つゆの中で適度に衣がほどけるよう、通常よりも薄めの衣で軽く揚げるのがポイントです。なお、天ぷらそばのつゆの味わいについて詳しく知りたい方は、そばナビの[蕎麦湯とは?](https://soba-navi.jp/soba-making/sobayu-toha/)もあわせてご覧ください。
Q6. 夏場に天ぷらを揚げるときの注意点はありますか?
夏場は室温が高いため、衣の温度が上がりやすく、グルテンが形成されやすくなります。対策として、薄力粉は使う直前まで冷蔵庫に入れておく、ボウルを氷水の上に置いて作業する、衣は一度に大量に作らず少量ずつ作り足す、といった工夫が有効です。また、7月は東京の平均気温が25.7℃(気象庁平年値、1991〜2020年)と高く湿度も上がるため、揚げた天ぷらは特にすぐにしんなりしやすい環境です。揚げたらすぐに食卓へ出すことを心がけてください。
Q7. 小麦粉アレルギーの場合、代替はありますか?
米粉を使うことで、小麦粉不使用の天ぷらを作れます。米粉はグルテンを含まないため、混ぜすぎを気にする必要がなく、初心者でもサクサクに仕上がりやすいメリットがあります。ただし、衣の付きが薄力粉より弱いため、食材に米粉をまぶしてから衣をつけると密着しやすくなります。水の量は薄力粉のときよりもやや少なめ(粉100gに対し水120〜130ml程度)に調整してください。
関連記事: 天ぷらすずき錦糸町ガイド|メニュー・予算・4種の塩で楽しむ揚げたて体験
関連記事: 天ぷらひらお福岡全8店舗ガイド|店舗別の特徴と攻略法を徹底解説
まとめ:天ぷらの作り方のポイント
天ぷらの作り方を5つのステップで解説しました。最後に、押さえるべきポイントを整理します。
- 食材の水気を徹底的に拭き取ることが、すべての土台になる
- 衣は「3つの冷」(冷たい水・冷たい卵・冷たい粉)を守り、混ぜすぎない
- 油の温度は170〜180℃を維持し、菜箸や衣の落とし方で見極める
- 揚げる順番は「香りの弱いもの→強いもの」「低温→高温」で
- 一度に揚げる量は油の表面積の1/3〜1/2以下に抑える
- 油切りは網の上で行い、キッチンペーパーの上に直接置かない
- 揚げたてを5分以内に食卓へ届けることが、最後にして最大のコツ
天ぷらは、シンプルに見えて奥が深い料理です。一度コツをつかめば、家庭でも十分に職人レベルの仕上がりに近づけます。まずは基本の5ステップを忠実に実践し、旬の食材で季節ごとの天ぷらを楽しんでみてください。
次のステップとして、衣の応用テクニックを学びたい方は天ぷらの衣をサクサクにする方法、揚げ方全般のコツを深掘りしたい方は天ぷらの揚げ方のコツをご覧ください。
参考情報
- 昭和産業株式会社「天ぷらの上手な作り方」(https://www.showa-sangyo.co.jp/special/tenpurako/howto.html)
- 白ごはん.com「天ぷらの基本のレシピ〜衣・油・揚げ方まで〜」(https://www.sirogohan.com/recipe/tenpura/)
- 料理科学の森「グルテンの形成について」(https://ryourikagakunomori.jp/2019/03/30/グルテンの形成につて/)
- 気象庁「過去の気象データ(平年値: 1991-2020年平均)」


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