「天ぷらを食べたいけれど、油の処理が面倒」「ヘルシーに仕上げたい」——そう感じてノンフライヤーを購入した方から、「本当に天ぷらって作れるの?」という問いをよく耳にする。結論から言えば、作れる。ただし、油で揚げる天ぷらとは別物と割り切ることが大前提だ。
ノンフライヤーで作る天ぷらは、日本料理の巨匠が追い求めるカウンター天ぷらの世界とは異なる。だが「手軽に、ヘルシーに、後片付け不要で天ぷら風の料理を楽しむ」という目的においては、十分に実用的な調理法である。本記事では正直な検証をもとに、ノンフライヤー天ぷらの全手順・コツ・食材別データを徹底解説する。
ノンフライヤーで天ぷらができる理由・できない理由

高温熱風がもたらす「揚げに近い」効果
ノンフライヤー(エアフライヤー)は、200℃前後の高温熱風を食材に循環させる調理器具だ。表面の水分を急速に蒸発させることで、油を使わなくても揚げたような食感に近づけることができる。
天ぷらの本質は「衣の水分を一気に蒸発させ、油と入れ替える」プロセスにある。通常の揚げ天ぷらでは170〜180℃の油が衣を瞬時に加熱し、水蒸気が衣を押し広げながら油膜をまとわせてサクサク感を生む。ノンフライヤーでは油の代わりに熱風がその役割を担う——という仕組みだ。
「本当の天ぷら」と何が違うのか
| 項目 | 油揚げ天ぷら | ノンフライヤー天ぷら |
|---|---|---|
| 調理の仕組み | 油中で衣の水分と油を交換 | 熱風で表面の水分を蒸発 |
| 衣の食感 | 透明感のあるサクサク感 | やや乾いたカリカリ感 |
| 風味 | 油のコクと香り | あっさりとした仕上がり |
| 油の量 | 500mL〜1L前後 | 衣に混ぜる大さじ1程度 |
| カロリー | 高め | 30〜40%カット可能 |
| 後片付け | 油処理が必要 | 不要 |
| 向いている食材 | ほぼ全ての食材 | 水分が少ない食材 |
正直な評価: ノンフライヤー天ぷらは「揚げ天ぷらの代替品」ではなく「天ぷら風の軽い料理」として位置づけるのが正解だ。プロの料理人の目から見れば全くの別物だが、日常の食卓での活用としては十分な選択肢になりうる。
基本レシピ:ノンフライヤー天ぷらの作り方

ノンフライヤーで天ぷらを作るうえで最重要なのは「衣の配合」と「下準備」の2点だ。この2点を押さえることで、完成度が大幅に変わる。
衣の材料(2人分)
| 材料 | 分量 | 備考 |
|---|---|---|
| 薄力粉 | 100g | 強力粉は絶対に使わない |
| 冷水 | 130〜150mL | 氷水を使うとより良い |
| 太白ごま油または米油 | 大さじ1(15mL) | 衣に先に混ぜる |
| 塩 | ひとつまみ | 衣のコク出しに |
ポイント:油を衣の中に先に混ぜる ことが、ノンフライヤー天ぷらのカギだ。熱風が当たったときに衣の表面が乾きやすくなり、焼き色もつきやすくなる。通常の揚げ天ぷらでは「衣に油は入れない」が、ノンフライヤーでは逆説的にこの工程が仕上がりを左右する。
手順
1. 食材の下処理 — 野菜は一口大に切り、キッチンペーパーで表面の水気をしっかり拭く。水気が残っていると熱風で蒸されてしまい、食感が損なわれる。
2. 打ち粉 — 食材全体に薄力粉を薄く均一にまぶす。これが衣を食材に定着させる接着剤になる。
3. 衣の調合 — ボウルに薄力粉、塩、油を入れ、最後に冷水を加える。混ぜすぎ厳禁。 ダマが残る程度で止める。
4. 衣をつける — 打ち粉をまぶした食材を衣にくぐらせる。厚つけになりすぎないよう注意。
5. クッキングシートを敷く — バスケットにクッキングシートを敷くことで、衣のこびりつきを防ぐ。
6. 少量のオイルスプレー — 衣の表面に油をごく薄くスプレーする(なければ刷毛で薄塗り)。
7. 加熱 — 200℃で10分。5分経過後に一度取り出して裏返す。
食材別・ノンフライヤー天ぷらの温度と時間

食材によって含水率と厚みが異なるため、温度・時間の設定を食材ごとに調整することが重要だ。
| 食材 | 温度 | 時間(目安) | 裏返し | 難易度 | 向き・不向き |
|---|---|---|---|---|---|
| さつまいも(5mm厚) | 200℃ | 12〜15分 | 6分後 | ★☆☆ | 向き |
| かぼちゃ(7mm厚) | 190℃ | 12〜14分 | 6分後 | ★☆☆ | 向き |
| れんこん(5mm厚) | 200℃ | 10〜12分 | 5分後 | ★☆☆ | 向き |
| しいたけ | 190℃ | 8〜10分 | 4分後 | ★☆☆ | 向き |
| ブロッコリー | 200℃ | 8〜10分 | 4分後 | ★★☆ | 普通 |
| にんじん(4mm厚) | 190℃ | 10〜12分 | 5分後 | ★☆☆ | 向き |
| 大葉 | 190℃ | 5〜6分 | 不要 | ★★☆ | 普通 |
| 舞茸 | 200℃ | 8〜10分 | 4分後 | ★☆☆ | 向き |
| 海老(大) | 200℃ | 8〜10分 | 4分後 | ★★★ | 要工夫 |
| 白身魚(切り身) | 200℃ | 10〜12分 | 5分後 | ★★★ | 要工夫 |
向き・不向きの解説: でんぷん質が多い芋類・根菜類は水分が少なく、ノンフライヤーとの相性が良い。反対に海老や魚など水分量が多い食材は衣がはがれやすく、仕上がりにばらつきが出やすい。初めて挑戦する場合は、さつまいもやかぼちゃから始めることを強くすすめる。
失敗しないための7つのコツ

コツ1:食材の水気を徹底的に除く
油で揚げる場合と比較して、ノンフライヤーは食材から出る水蒸気を排出する力が弱い。キッチンペーパーで丁寧に押さえるだけでなく、切った後に数分放置して切断面の水気を飛ばす時間を設けよう。
コツ2:衣は薄めに、均一につける
ノンフライヤーでは衣が厚すぎると外側だけ乾いて中が生焼けになりやすい。揚げ天ぷらの「ふんわり厚め」ではなく、「薄く均一」を意識する。余分な衣は箸で振り落とすと良い。
コツ3:バスケットに食材を重ねない
重ねると熱風の循環が妨げられ、片面だけ加熱される。「1層に並べる」が大前提。一度に揚げる量を欲張らないことが、均一な仕上がりへの近道だ。
コツ4:衣には必ず油を混ぜ込む
前述の通り、衣に少量の油を先に混ぜることが通常の揚げ天ぷらとの最大の工夫ポイントだ。太白ごま油(香りが少なく食材の風味を活かせる)が特におすすめ。米油でも代用可能。
コツ5:途中で裏返す
加熱時間の半分が経過したタイミングで必ず裏返す。片面だけが乾いて、反対面がしっとりするのを防ぐ。衣がデリケートなので、シリコン製のトングを使うと破れにくい。
コツ6:仕上げの余熱を活用する
設定時間が終わったら、すぐに取り出さずに1〜2分そのままにしておく。余熱でさらに水分が飛び、カリカリ感が増す。
コツ7:食材を常温に戻しておく
冷蔵庫から取り出したばかりの食材は内部温度が低く、表面だけ焼けて中が生になりやすい。調理30分前には冷蔵庫から出しておこう。
ノンフライヤーで天ぷらを温め直す方法

ノンフライヤーは「新たに天ぷらを作る」だけでなく、「既製品や作り置きの天ぷらを温め直す」用途でも力を発揮する。この用途では、油揚げの天ぷらを使うためトータルクオリティが格段に上がる。
通常の天ぷらの温め直しについては電子レンジやフライパンでのコツをまとめた記事も参照されたい。
温め直しの手順
1. 天ぷらをキッチンペーパーの上に置き、余分な油を吸い取る
2. バスケットにクッキングシートを敷き、天ぷらを1層に並べる
3. 170〜180℃に設定し3〜5分加熱
4. 衣のカリカリ感を確認し、必要なら追加で1〜2分
| 食材 | 温め直し温度 | 時間 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| さつまいも・かぼちゃ | 170℃ | 4〜5分 | 焦げやすいので低温で |
| 海老天・きす天 | 180℃ | 3〜4分 | 長くすると硬くなる |
| かき揚げ | 170℃ | 5〜6分 | 内部まで火を通す |
| 野菜天(薄いもの) | 180℃ | 2〜3分 | 様子を見ながら |
温め直しの注意点: スーパーの揚げたて天ぷらを購入してから時間が経っている場合、一度キッチンペーパーで油を軽く吸わせてからノンフライヤーに入れると、余分な油が加熱で煙を出すのを防げる。
ノンフライヤー天ぷらのカロリーとヘルシー効果
天ぷらの最大の課題はカロリーだ。油揚げの場合、衣が大量の油を吸収するが、ノンフライヤーではその吸収がほとんど起きない。
通常の油揚げ天ぷらと比較したカロリーの違いは、天ぷらのダイエット向き食べ方の記事でも詳しく解説しているが、ノンフライヤーを使えば天ぷらの油の摂取量を大幅に削減できる。
| 食材(1個あたり) | 油揚げ | ノンフライヤー | 差 |
|---|---|---|---|
| 海老天(大・1本) | 約90kcal | 約55kcal | -35% |
| さつまいも天(1切れ) | 約80kcal | 約50kcal | -37% |
| かき揚げ(1個) | 約180kcal | 約110kcal | -39% |
※ 数値は使用する衣・油の量により変動
ただしカロリーが減る分、「油のコク」が失われる。風味の満足感を補うために、天つゆを工夫したり、レモンや塩を合わせたりすると食事としての満足度が上がる。天ぷらの揚げ方の基本については揚げ方のコツをまとめた記事も参考にしてほしい。
ノンフライヤー天ぷらが特に向いているシーン
ノンフライヤー天ぷらが真価を発揮するシーンは限られているが、その限られたシーンでは非常に便利だ。
向いているシーン:
- 一人暮らしで少量だけ作りたいとき
- 油の後片付けをしたくない日(疲れているとき、夜遅いとき)
- ダイエット中で油の摂取を控えたいとき
- 既製品の天ぷらを温め直すとき
- 子どもが油っこいものを苦手なとき
向いていないシーン:
- 本格的な天ぷらの食感・風味を求めるとき
- 海老やきすなど繊細な魚介を主役にしたいとき
- 大人数(4人以上)分を一度に作りたいとき
- 天丼・天ぷらそばなどに乗せる本格的な天ぷらを作りたいとき
ノンフライヤー天ぷら よくある質問(FAQ)
Q1. 油を一切使わずに天ぷらを作れますか?
衣に油を混ぜないと、仕上がりが非常に乾燥した固い食感になりやすい。衣に大さじ1程度の油を混ぜ込み、さらに表面に薄くオイルスプレーを使うことで、天ぷらに近い食感に近づく。「ゼロ油」は技術的には可能だが、仕上がりへの満足度は大きく下がる。
Q2. 市販のノンフライヤーなら、どれでも天ぷらが作れますか?
最大温度が200℃以上に対応しているモデルであれば、基本的に対応可能だ。ただし、バスケットのサイズが小さいと一度に作れる量が限られる。食材が1層に並べられる程度の容量(2〜3L以上)のモデルを推奨する。
Q3. 衣がはがれてしまいます。どうすればいいですか?
原因はほとんどの場合「食材の水気」と「打ち粉不足」の2つだ。食材の水気を丁寧に拭き取ったうえで、衣の前に薄く薄力粉をまぶす「打ち粉」の工程を必ず入れることで改善される。水分が多い食材(海老、白身魚)は特に念入りに。
Q4. フライドポテトやから揚げと同じ感覚で使えますか?
から揚げやポテトは中に油を含む食材のため、ノンフライヤーとの相性が非常に良い。一方で天ぷらは「衣に薄く油を補う工程」が必要なため、から揚げに比べると工夫が必要になる。一度慣れれば難しくないが、から揚げ感覚で何も考えずに作ると、乾燥した固い仕上がりになりやすい。
Q5. スーパーで買った天ぷらを温め直すなら何℃が最適ですか?
170〜180℃が安定した温度帯だ。200℃は焦げやすいため、温め直しには使わないほうが良い。時間は3〜5分を目安に、様子を見ながら調整しよう。衣の色と触感でカリカリ感を確認するのがコツだ。
Q6. ノンフライヤーで作った天ぷらを天丼にしても大丈夫ですか?
可能だが、タレをかけることで衣が柔らかくなりやすい。仕上がり直後の最もカリカリした状態のうちにすぐタレをかけて食べるか、ご飯とタレを別添えにして天ぷらの上にはかけないスタイルにするのがおすすめだ。
Q7. 揚げるよりも時間がかかりますか?
食材1〜2種類の場合は予熱時間(2〜3分)を含めると油揚げと大差ない。大量に作る場合はノンフライヤーのほうが時間がかかることが多い。ただし、油の準備・後片付け時間を含めると、トータルではノンフライヤーのほうが短くなることも多い。
参考情報
本記事の作成にあたり、以下の情報を参照した。
- VeSyncジャパン「ノンフライヤー天ぷらの完全ガイド!サクサクに仕上げるコツとレシピ紹介!」
- AllAbout「ノンフライヤーで天ぷらレシピ!揚げない天ぷらの作り方」
- ニッポンハーモニー「天ぷらをノンフライヤーで作るコツ」
- 天ぷらナビ「天ぷらの温め直し完全ガイド」(https://tempura-navi.jp/tempura/tempura-atatame-naoshi/)
- 天ぷらナビ「天ぷら揚げ時間・食材別ガイド」(https://tempura-navi.jp/tempura/tempura-agejikan-shokuzaibetsu/)
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