天ぷらの二度揚げのやり方|サクサク食感を叶える温度と手順

天ぷらの二度揚げのやり方|サクサク食感を叶える温度と手順 天ぷらの揚げ方

最終更新: 2026-04-29

「家庭で揚げた天ぷらが、時間が経つとベチャッとしてしまう」。これは多くの方が経験する悩みです。天ぷら専門店では、揚げたてのサクサク感が長時間持続する仕上がりを実現していますが、その技術のひとつが「二度揚げ」です。二度揚げとは、食材を2回に分けて油に通すことで、衣の水分を徹底的に飛ばし、外はカリッと中はふんわりとした食感を生み出す調理法です。

この記事では、天ぷらの二度揚げのやり方を基本の温度設定から食材別の揚げ時間まで、手順に沿って詳しく解説します。まず二度揚げの仕組みと効果を説明し、次に具体的な手順とコツ、最後に食材ごとの最適な温度と時間をお伝えします。

天ぷらの二度揚げとは?始める前に知っておくこと

二度揚げとは、1回目に低温(約160℃)でじっくりと火を通し、一度油から引き上げて余熱で中まで加熱した後、2回目に高温(約180℃)で短時間揚げて衣をカリッと仕上げる調理法です。

この技法が効果的な理由は、衣に含まれる水分の抜け方にあります。1回目の低温揚げで衣の小麦粉のでんぷんが糊化(こか)し、骨格となる構造ができます。その後、2回目の高温揚げで残った水分を一気に蒸発させることで、衣の内部に微細な気泡が残り、サクサクとした軽い食感が生まれます。

項目 目安
所要時間 1食材あたり約5〜8分(休ませ時間含む)
追加コスト 通常の天ぷらと同じ(追加費用なし)
難易度 初級〜中級(温度管理がポイント)
必要なもの 揚げ鍋、料理用温度計、揚げ網・バット

特に重要なのは「料理用温度計」です。二度揚げは温度管理が仕上がりを大きく左右するため、目視や衣の落とし加減だけでなく、温度計で正確に測ることをおすすめします。

二度揚げが向いている食材・向いていない食材

二度揚げはすべての食材に必要なわけではありません。厚みがあり火が通りにくい食材や、水分量の多い食材で特に効果を発揮します。

分類 食材例 二度揚げの必要性
厚みのある根菜類 さつまいも、れんこん、かぼちゃ 特に効果的
水分の多い葉物・花類 大葉、しそ、みょうが 不要(薄いため1回で十分)
厚みのある魚介類 海老(大サイズ)、穴子、キス 効果的
薄い魚介類 小海老、ワカサギ 不要(火が通りやすい)
かき揚げ 野菜かき揚げ、桜海老かき揚げ 効果的(中心部の水分を飛ばせる)

天ぷらの二度揚げのやり方【ステップ解説】

Step 1: 油の準備と温度チェック

揚げ油をたっぷりと鍋に入れ、160℃まで加熱します。油の量は鍋の深さの3分の1〜半分程度が目安です。油が少なすぎると温度変化が激しくなり、仕上がりが安定しません。

温度計がない場合の確認方法として、衣を少量落とす方法があります。160℃では衣が鍋底近くまで沈んでからゆっくり浮き上がります。180℃では衣が中ほどまで沈んですぐに浮き上がります。ただし、二度揚げの精度を高めるためには温度計の使用を推奨します。

油の種類は、太白ごま油やサラダ油が適しています。太白ごま油は天ぷら専門店でも使用されることが多く、風味よく仕上がります。油の選び方について詳しくは「天ぷら油の選び方とおすすめ」でも解説しています。

Step 2: 1回目の揚げ(低温160℃・じっくり加熱)

食材に衣をつけ、160℃の油に静かに入れます。ここでのポイントは「触らない」ことです。衣が固まる前に箸で動かすと、衣が剥がれたり形が崩れたりします。

1回目の揚げ時間は食材の厚みによって異なりますが、目安は以下のとおりです。

食材 1回目の温度 1回目の時間 見た目の目安
さつまいも(8mm厚) 160℃ 3〜4分 衣が白っぽくなり、泡が小さくなる
れんこん(7mm厚) 160℃ 2〜3分 衣が薄いきつね色になりかける
かぼちゃ(7mm厚) 160℃ 3〜4分 竹串がスッと通る
海老(大) 160℃ 1分30秒〜2分 衣が白く固まり、海老が赤くなる
キス 160℃ 1分30秒〜2分 衣が白っぽく固まる
かき揚げ 160℃ 2〜3分 全体の衣がつながって固まる

揚げている最中に油の温度が下がりやすいので、一度に入れる食材は2〜3個までにしてください。大量に入れると油温が急激に下がり、衣が油を吸ってベタついた仕上がりになります。

Step 3: 引き上げて休ませる(余熱調理)

1回目の揚げが終わったら、揚げ網やバットの上に引き上げて1〜2分休ませます。この「休ませ」の工程が二度揚げの核心です。

休ませている間に起きていることは2つあります。ひとつは余熱によって食材の中心まで火が通ること。もうひとつは衣の表面温度がやや下がることで、2回目の高温揚げとの温度差が生まれ、衣内部の水分が効率よく蒸発する状態が整うことです。

この工程で注意すべきは、休ませすぎないことです。3分以上放置すると衣が冷えすぎて、2回目の揚げで油を余計に吸ってしまいます。

Step 4: 2回目の揚げ(高温180℃・短時間仕上げ)

油温を180℃まで上げ、休ませておいた食材を再び投入します。2回目は短時間で仕上げるのがポイントです。

食材 2回目の温度 2回目の時間 仕上がりの目安
さつまいも 180℃ 30秒〜1分 きつね色に色づく
れんこん 180℃ 20〜30秒 カリッとした音がする
かぼちゃ 180℃ 30秒〜1分 表面が乾いた感触になる
海老(大) 180〜190℃ 20〜30秒 衣が黄金色になる
キス 180℃ 20〜30秒 衣がカリッとする
かき揚げ 180℃ 30秒〜1分 全体がきつね色になる

2回目の揚げで最も多い失敗は「揚げすぎ」です。1回目で中まで火は通っているため、2回目は衣の水分を飛ばすだけの工程です。長く揚げすぎると衣が焦げたり、食材の水分まで飛んでパサパサになったりします。

失敗しないためのコツ・注意点

二度揚げで起きやすい失敗パターンとその対策をまとめます。

よくある失敗 原因 対策
衣がベチャッとする 1回目の油温が低すぎる(150℃以下) 温度計で160℃を確認してから投入する
衣が焦げる 2回目の油温が高すぎる(200℃超) 180℃を超えないよう火加減を調整する
中が生焼け 休ませ時間が短い 最低1分は休ませ、余熱で中心まで加熱する
衣が油っぽい 一度に大量に揚げている 鍋の表面積の3分の1以下に食材を収める
衣が剥がれる 1回目で食材を動かしすぎ 投入後30秒は触らず、衣が固まるのを待つ

衣づくりのポイント

二度揚げの成功は衣の状態にも左右されます。天ぷらの衣は「冷たさ」と「混ぜすぎない」ことが鉄則です。

衣の材料は薄力粉と冷水を1:1の割合で合わせます。水は氷水を使い、薄力粉は使う直前まで冷蔵庫で冷やしておくのが理想です。混ぜ方は菜箸で「の」の字を数回書く程度にとどめ、ダマが残っている状態で構いません。混ぜすぎるとグルテンが形成されて粘りが出て、サクサク感が損なわれます。

衣づくりの詳しいテクニックは「天ぷらの衣をサクサクにする方法」で解説しています。

食材別・二度揚げの最適温度と時間【一覧表】

食材ごとの厚みや水分量に応じた最適な温度と時間を一覧にまとめました。この表を手元に置いて、揚げる際の参考にしてください。

食材 推奨厚み 1回目温度 1回目時間 休ませ 2回目温度 2回目時間
さつまいも 8mm 160℃ 3〜4分 1〜2分 180℃ 30秒〜1分
れんこん 7mm 160℃ 2〜3分 1分 180℃ 20〜30秒
かぼちゃ 7mm 160℃ 3〜4分 1〜2分 180℃ 30秒〜1分
にんじん 5mm 160℃ 2〜3分 1分 180℃ 20〜30秒
海老(大) 160℃ 1分30秒〜2分 1分 180〜190℃ 20〜30秒
キス 160℃ 1分30秒〜2分 1分 180℃ 20〜30秒
穴子 160℃ 2〜3分 1〜2分 180℃ 30秒〜1分
かき揚げ 1.5cm 160℃ 2〜3分 1〜2分 180℃ 30秒〜1分

食材別の揚げ時間については「天ぷらの揚げ時間を食材別に解説」でも詳しく紹介しています。

二度揚げと一度揚げの違い|科学的な視点で解説

天ぷらの揚げ方には「一度揚げ」と「二度揚げ」がありますが、仕上がりにどのような違いが生まれるのかを整理します。

比較項目 一度揚げ(170〜180℃) 二度揚げ(160℃→180℃)
衣のサクサク持続時間 揚げたて後5〜10分程度 揚げたて後15〜20分程度
中心部への火の通り 厚い食材は生焼けリスクあり 余熱で確実に火が通る
油の吸収量 やや多い 2回目で表面が引き締まり、やや少ない
手間 少ない 休ませ工程が追加
向いている食材 薄い葉物・小型の魚介 厚みのある根菜・大型の魚介

一度揚げが適しているのは、大葉やみょうがなど薄くて火が通りやすい食材です。こうした食材は二度揚げをすると逆に火が通りすぎて食感が悪くなることがあります。食材の特性に合わせて使い分けることが、天ぷらを上手に揚げるコツです。

天ぷらの基本的な揚げ方については「天ぷらの揚げ方のコツ」で詳しく解説しています。

実際にやってみると…(現場の声と家庭での実践)

天ぷら専門店の現場では、二度揚げは「必要な食材にだけ使う技術」として位置づけられています。すべての食材を二度揚げするわけではなく、さつまいもやかぼちゃなどの根菜類、厚みのある海老や穴子など、1回の揚げでは中心まで火が通りにくい食材に限定して使うのが一般的です。

家庭で実践する際のリアルな声としてよく挙がるのが、「油の温度管理が難しい」という点です。家庭用のコンロは火力が業務用より弱いため、食材を入れた直後に油温が下がりやすくなります。対策としては、1回に揚げる量を少なめにすること、そして食材を入れた直後に火を少し強めることが効果的です。

もうひとつ現場の知恵として、「休ませている間に次の食材の1回目を揚げる」というローテーション方式があります。AグループとBグループに分けて、Aの1回目→Aを休ませながらBの1回目→Aの2回目→Bの2回目、という流れで揚げると、効率よく仕上げられます。

よくある質問

Q1: 二度揚げは唐揚げの技法ではないのですか?天ぷらにも使えるのですか?

二度揚げは唐揚げでよく知られる技法ですが、天ぷらにも効果的です。天ぷらの場合は衣の水分を飛ばしてサクサク感を持続させる目的で使います。唐揚げの二度揚げが「中までジューシーに火を通す」ことを重視するのに対し、天ぷらでは「衣の軽さとサクサク感」を重視する点が異なります。

Q2: 冷めた天ぷらを二度揚げで復活させることはできますか?

可能です。冷めた天ぷらを180℃の油で30秒〜1分ほど揚げ直すと、衣のサクサク感が復活します。ただし、揚げ直す前に天ぷらが常温に戻っていることを確認してください。冷蔵庫から出してすぐに揚げると、油の温度が急激に下がり、油を吸ってしまいます。

Q3: 二度揚げに適した油の量はどのくらいですか?

鍋の深さの3分の1〜半分程度が目安です。油が少なすぎると食材を入れた際の温度変化が大きくなり、仕上がりが安定しません。逆に油が多すぎると吹きこぼれの危険があります。直径24cmの揚げ鍋であれば、800ml〜1L程度が適量です。

Q4: 温度計がなくても二度揚げはできますか?

衣を少量落として判断する方法で代用できます。160℃では衣が鍋底付近まで沈んでからゆっくり浮き上がり、180℃では中ほどまで沈んですぐ浮き上がります。ただし、二度揚げは温度管理が仕上がりを大きく左右するため、料理用温度計(1,000円前後で購入可能)の使用を強くおすすめします。

Q5: かき揚げも二度揚げにした方がよいですか?

かき揚げは中心部に水分が残りやすいため、二度揚げが効果的です。1回目は160℃で2〜3分揚げて形を固め、1〜2分休ませた後、180℃で30秒〜1分揚げます。中心部までサクサクのかき揚げに仕上がります。かき揚げの詳しい作り方は「[かき揚げの作り方とコツ](https://tempura-navi.jp/tempura-ingredients/kakiage-tsukurikata-kotsu/)」をご覧ください。

Q6: 天ぷらの二度揚げで使う油の温度が上がりすぎた場合はどうすればよいですか?

火を止めて、差し油(常温の新しい油を少量加える)で温度を下げてください。200℃を超えると衣が一瞬で焦げてしまうだけでなく、油の酸化も早まります。温度が下がるまで食材を入れず、180℃に戻ったことを確認してから2回目の揚げを始めてください。

Q7: 二度揚げした天ぷらの保存方法はありますか?

二度揚げした天ぷらは、粗熱を取った後にキッチンペーパーを敷いた密閉容器に入れ、冷蔵庫で保存できます。保存期間の目安は1〜2日です。食べる際はオーブントースターで180℃・3〜5分温め直すと、サクサク感が戻ります。電子レンジは衣がしんなりするため避けてください。

まとめ:天ぷらの二度揚げのやり方のポイント

天ぷらの二度揚げのやり方のポイントを整理します。

  • 1回目は160℃の低温でじっくり揚げ、衣の骨格をつくる
  • 引き上げて1〜2分休ませ、余熱で中心まで火を通す
  • 2回目は180℃の高温で30秒〜1分の短時間仕上げ
  • 厚みのある根菜類や大きな魚介類に特に効果的
  • 薄い葉物や小型の魚介は一度揚げで十分
  • 温度計を使った正確な温度管理が成功のカギ

まずは、さつまいもやれんこんなど厚みのある根菜類から試してみてください。二度揚げの効果を最も実感しやすい食材です。

天ぷらの揚げ方の基本を確認したい方は「天ぷらの揚げ方のコツ」、油の温度管理について詳しく知りたい方は「天ぷらの温度の目安」もあわせてご覧ください。

天ぷらに関する専門用語は「天ぷら用語集」でまとめています。

参考情報

  • 工学院大学 先進工学部 応用化学科「サクサク天ぷらの化学」(https://www.kogakuin-applchem.jp/laboratory/foodchemistry/tempura)
  • 味の素パーク「揚げ油の温度」(https://park.ajinomoto.co.jp/recipe/basic/friedoil/)
  • 日清オイリオ「揚げる油の温度」(https://www.nisshin-oillio.com/kitchen/study-oil/temperature.html)
  • 昭和産業「天ぷらの上手な作り方」(https://www.showa-sangyo.co.jp/special/tenpurako/howto.html)



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